床矯正
保護者の方より床矯正についてのご質問を受けることが多くあります。
床矯正が、どういった方を対象とした治療法なのか、また治療する上での注意事項、メリットやデメリットをお伝えいたします。
床矯正には良い面もありますが、その反面注意すべき面もあります。
正しく理解された上で治療を開始されることが大切です。
床矯正とは
床矯正(しょうきょうせい)とは、ワイヤーを使わない装置を利用した矯正治療の一種です。
床矯正装置の仕組み
床矯正は、装置に埋め込まれた拡大ネジを徐々に広げていき、歯列を側方にゆっくり拡大して、歯を並べるスペースを作ります。
子どものうちはまだ顎の骨に成長の見込みがあり、同時に歯も動きやすくなっています。
歯列全体が広がった段階で、部分的なバネにより内側に入り込んでしまった歯を外側に押し、歯列を整えて行きます。
取り外しが可能になっていますが、基本的には食事の時以外、一日14時間以上の装着が望ましくなっています。
半日以上装着しないと、装置がきつくなってしまい、場合によっては装置の作り直しをしなければいけない状況になってしまうこともあります。
床矯正は歳〜11歳くらいの子どもが対象となります
床矯正は成長期のお子様の歯並び改善を目的とした治療方法で、6歳〜11歳くらいに治療を始めるのが望ましいでしょう。
一般的な矯正治療は歯を動かして歯並びを整えますが、床矯正ではお子様の成長に合わせて歯がしっかりと生えるスペースを確保することを主体として少しずつ歯列の幅を広げていきます。
歯を支える 骨の成長が止まる前に、歯並びを正しい方向にガイドすることで、自然な歯列にすることが出来ます。
床矯正を利用すると抜歯をせずに歯並びを治せる可能性が高まります
子どもが小さい頃に床矯正で歯並びの矯正をすることで、将来的に歯を抜く必要が生じる大掛かりな治療を回避することが出来る場合があります。
抜歯をしなければいけない原因は、顎に歯を整列させるスペースが取れない場合や上顎と下顎の位置関係の不調和などです。
乱ぐい歯などが代表的な例で、顎の骨や、歯の大きさが原因で歯がまっすぐに生えずに凸凹した歯並びになってしまいます。
床矯正は子どものうちに予め歯を並べるスペースを確保するために行われる治療です。
「子どものうちに矯正治療をした方がよい」というのは間違った情報です
“子どもの頃に床矯正を行えば、費用も安く、そして、簡単にお子さんの歯並びが治る”というのは誤った認識です。
というのも床矯正では大雑把な歯の移動しかできないため、歯並びを改善出来ない場合があるのです。
床矯正で出来る範囲は、歯列の横幅を広げ て歯を並べるスペースを作ることと、内側から歯を押し、歯を並べることです。
重度のデコボコや出っ歯や受け口で前後的な顎の位置が関係している場合には、 他の矯正装置による治療が必要になることがほとんどです。
床矯正だけでは治らない例
重度の乱ぐい歯
歯のデコボコの状態がひどい場合は、床矯正だけでの歯並びの改善は困難です。
こういった場合は、ワイヤーを使った装置を併用して矯正治療行います。
大まかな歯の移動を床矯正で行い、その後のワイヤー矯正で最終的な歯列の調整をするということです。
しっかりとした治療計画が矯正成功のカギ
このように床矯正だけでは歯並びを整えることが難しい場合があるため、まずはしっかりと時間を取り、最終的に歯並びや咬み合わせがしっかりと改善させることをゴールとした矯正治療を専門とする歯科医による十分な診断と綿密な治療計画を立てる必要があります。
床矯正のメリットデメリット
床矯正のメリット
- ・抜歯をしないで矯正治療を出来る可能性が広がる
- ・治療の痛みが少ない
- ・取り外しができ、食事の時でも食べづらいことがない
- ・取り外せることで歯みがきがしやすく、むし歯になりにくい
- ・一般的なワイヤー矯正に比べて費用が安い
床矯正のデメリット
- ・装置を自分で装着しないと治療の効果が出ない
- ・装着時に多少しゃべりづらくなる可能性がある(※通常1〜2週間で慣れます)
- ・歯列の拡大だけで歯並びが綺麗にならないことがあり、その場合はワイヤー治療を併用することが必要になる
【治療内容】
拡大床という装置を使用して少しずつ顎を広げます。
【標準的な費用(自費)】
35.2万円~46.2万円(税込)
【治療期間及び回数】
個人の口腔内状況、症状によりますが、1装置3-12ケ月。通院回数は、治療段階によりますが、通常1か月に1回です。
1日に12時間以上装着していれば治療は可能で、装着時間が多いほど治療は早く終了しますが、早期に治療を開始すると装置の数も少なく、
成長を利用できるので治療も短期間で終了
【副作用・リスク】
正しく装着しないと改善しない場合があります。 症状によっては対応できない場合があります。